1. 施工管理の採用は「今どのくらい」難しいのか
施工管理の採用難を考えるとき、まず確認したいのが、求人に対して求職者がどのくらいいるかだ。
厚生労働省の職業別有効求人倍率(令和8年7月分・全国・常用パート含む・原数値)では、職業計が1.05倍であるのに対し、建築・土木・測量技術者は5.46倍。新規求人倍率は9.08倍となっている。
- 職業計:有効求人2,038,005人分 ÷ 有効求職1,949,781人=1.05倍
- 建築・土木・測量技術者:有効求人59,678人分 ÷ 有効求職10,931人=5.46倍(新規求人倍率9.08倍)
これは施工管理を含む職業区分の数字であり、施工管理だけの倍率ではない。また、ハローワークで扱う求人・求職の集計で、民間媒体を含む採用市場全体の倍率でもない。それでも、同じ集計範囲の職業計と比べて人材獲得の競争が強いことは読み取れる。
パートタイムを除いた常用で見ると、同じ職業区分は6.65倍(新規求人倍率11.15倍)になる。資料を比べる際は、対象月・職業区分・パートを含むかどうかをそろえたい。本記事の比較には、パートを含む常用の数字を用いている。
資格保有者の年齢構成も採用計画に関わる。国土交通省が公表した監理技術者資格者証保有者の年齢構成は、令和4年度末時点で次のとおりだ。資格者証の保有者を数えたもので、実際に建設技術者として働く人数とは集計対象が異なる。
- 29歳以下:1.1%
- 30〜39歳:9.7%
- 40〜49歳:23.7%
- 50〜59歳:30.6%
- 60〜69歳:23.5%
- 70歳以上:11.4%
60歳以上は23.5%と11.4%を合わせて34.9%。同資料の平成14年度末の14.3%と比べ、高齢化が進んでいる。さらに令和8年7月13日の技術者制度検討会資料でも、令和7年度までの推移をもとに、中心世代の減少とシニア世代への依存が示されている。上の割合は2022年度末の値として読み、現在の割合と取り違えないようにしたい。
2. 施工管理の採用が難しい3つの理由
採用難は施工管理だけに限らないが、この職種では次の3点を分けて考える必要がある。
(1) 配置する役割に応じた資格・実務経験
建設業者が請け負う工事には、原則として主任技術者を置く必要があり、元請が結ぶ下請契約の総額等の条件によっては監理技術者が必要になる。配置要件を満たす人材が必要な募集では、候補者の資格と実務経験を確認しなければならない。
(2) 入職者の確保と若手の定着
厚生労働省の令和7年「雇用動向調査」では、建設業の入職者は26.53万人、入職率は10.4%で、産業計の14.7%を下回る。一方、新規高卒就職者の3年以内離職率は41.4%で、全産業の37.9%を上回る(令和4年3月卒)。新規大卒では建設業30.5%、全産業33.8%であり、若手を一括りにせず、対象に応じた採用・育成を考えたい。これらは建設業全体の数字で、施工管理だけの集計ではない。
雇用動向調査の対象は、常用労働者を5人以上雇う事業所だ。一人親方や常用労働者が4人以下の事業所は含まれない。入職率・離職率を見る際は、この範囲も押さえておきたい。
(3) 現場業務と採用活動の両立
採用担当を専任で置けない会社では、求人原稿の見直しや応募対応を誰が担うかが課題になる。募集を始める前に、応募者への連絡、面接日時の調整、現場責任者への確認を担当する人を決めておきたい。
3. 1級・2級施工管理技士とは?配置要件と受検資格
施工管理技士には1級と2級があり、資格の種目・種別に対応する建設業の種類と、満たせる配置要件が異なる。等級だけで、どの現場にも配置できると判断しないことが大切だ。
- 1級施工管理技士:対応する業種の監理技術者・主任技術者の資格要件を満たす国家資格の一つ。
- 2級施工管理技士:対応する業種の主任技術者の資格要件を満たす国家資格の一つ。種目・種別によって対応する工事が異なる。
建設業の許可、請け負う工事の種類、元請・下請の別、下請契約の総額などによって、確認すべき配置要件が変わる。主任技術者には学歴と実務経験等による資格要件もあり、施工管理技士の資格だけが経路ではない。監理技術者資格者証・講習や現場への専任が必要かどうかも、採用したい役割に合わせて確認する。
令和6年度から、1級の第一次検定は19歳以上(受検年度末時点)で受検可能になった。第一次検定に合格すると「技士補」となるが、合格だけで1級施工管理技士になるわけではない。
第二次検定の新受検資格には、1級第一次検定合格後の実務経験5年以上、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上、監理技術者補佐としての実務経験1年以上などの経路がある。令和10年度までは旧受検資格による第二次検定の受検も可能であり、全員が新しい経路だけを使うわけではない。
受検資格は、資格取得後の現場配置要件とは別の確認事項だ。受検する種目と年度の手引きに沿って、本人の経験がどの経路に当てはまるかを確かめたい。
根拠:国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」
配置要件を満たす人材を採る募集と、資格取得を支えて育てる募集では、求める条件が異なる。次章では、この違いを求人に落とす手順を整理する。
育成費用については、技術検定に関する講習が人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コースの対象になる場合がある。受講開始日に指定教育訓練であること、指定教育訓練実施者が行う講座であること、受講者から費用を徴収しないことなど、講習・事業主・労働者それぞれの要件を確認する。詳しくは建設業の採用に使える助成金・補助金一覧も参考になる。
4. 未経験者採用は現実的か
未経験者を採って育てることは選択肢になる。ただし、主任技術者・監理技術者の配置要件を満たす人材を、未経験者の採用ですぐに補えるわけではない。
- 未経験者はアシスタント・見習いなど、指導者の下で経験を積む役割から採用する
- 受検費用の補助や勉強時間の確保など、実施できる資格取得支援を用意する
- 配置要件を満たす即戦力が必要なら、育成枠とは別に確保する
求人を出す前に、担当させる現場から条件を決める
募集条件に資格名を並べる前に、現場責任者と次の順番で整理したい。
- 工事と役割を決める。工事の種類、元請・下請の別、現場の範囲、入社直後に任せる業務を確認する。配置技術者として任せるのか、補助業務から始めるのかを明確にする。
- 配置要件と必要な時期を確かめる。対応する資格・実務経験、雇用関係、資格者証・講習、専任の要否を確認する。入社日と現場配置を予定する日も分けて考える。
- 必須条件と歓迎条件を分ける。配置上欠かせない条件を必須にし、入社後に学べる業務や資格は育成計画へ移す。未経験者の募集に、即戦力向けの条件をそのまま並べない。
- 働く条件と育成の担当を具体化する。担当エリア、出張、夜間工事、休日、直行直帰の扱いに加え、誰が何を教えるかを確認する。資格取得支援も、実際に用意できる内容を書く。
これで、同じ「施工管理募集」でも、応募者が自分に任せられる仕事を判断しやすくなる。経験者には現場と責任の範囲を、未経験者には最初の仕事と育成の道筋を伝えたい。
定着も一緒に考える必要がある。令和7年の建設業全体の離職率は8.7%で、産業計13.7%より低い。ただし、前章の新規高卒者の数字とは対象も観測期間も異なるため、業界全体の離職率だけで若手の定着を判断できない。採用時の説明と入社後の育成をつなぐ考え方は、若手の定着設計の記事と建設業の離職率の記事で整理している。
5. 外国人材は選択肢になるか
外国人材を専門的・技術的な施工管理業務で採用する場合、在留資格「技術・人文知識・国際業務」(技人国)が選択肢になる。仕事内容と本人の学歴・実務経験、在留資格で認められた活動の適合を確認する必要がある。
上陸基準省令では、関連科目を専攻した大学等の学歴、日本の専修学校の所定課程の修了、10年以上の実務経験(関連科目を専攻した期間を含む)などの経路が定められている。学歴だけが経路ではなく、日本人と同等額以上の報酬等の要件もある。
建設分野の特定技能2号は、複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する班長としての実務経験等を求める制度だ。特定技能2号の在留資格を取得しただけで、建設業法上の主任技術者・監理技術者に配置できるわけではない。在留資格上できる仕事と、建設業法上の資格・配置条件を分けて確認したい。
根拠:上陸基準省令の技術・人文知識・国際業務の項、建設分野の特定技能運用要領別冊、監理技術者制度運用マニュアル
| 在留資格 | 業務の考え方 | 採用前の確認 |
|---|---|---|
| 技術・人文知識・ 国際業務(技人国) | 専門的な技術・知識を要する施工管理等 | 関連する学歴・実務経験と業務の適合。現場の作業員としての仕事を、職種名だけ施工管理に変えて扱わない |
| 特定技能1号 (建設) | 認められた業務区分の建設作業 | 業務区分、技能・日本語能力、受入企業や支援の要件 |
| 特定技能2号 (建設) | 熟練した技能により、複数の技能者を指導しながら作業と工程管理に従事 | 所定の技能・実務経験等。主任技術者・監理技術者としての配置は別途要件を確認 |
求人票を作る前に、自社で任せたい具体的な仕事を整理することが出発点になる。国籍や資格名だけで採用可否を判断せず、本人の在留状況と職務内容を照らし合わせたい。
6. 施工管理の採用単価・コストの目安
現場作業に直接従事しない施工管理は、有料人材紹介の対象になり得る。そのため、求人媒体を使うか、人材紹介を使うか、採用業務を代行へ任せるかで、費用の内訳が変わる。
厚生労働省の「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」では、有料職業紹介の常用就職1件あたりの手数料は約103万円(前年度比10.9%増)。常用就職に係る手数料総額を就職件数で割った全国・全職種の平均で、施工管理や建設業だけの相場ではない。ここでの常用は、4か月以上の有期雇用または期間の定めのない雇用を指す。
自社の予算は、この平均値をそのまま使うのではなく、募集する職種・条件・人数・期間に合わせて見積もる。媒体費や代行費に加え、社内に残る応募対応や面接調整の時間も比較したい。具体的な手順は、建設業の採用代行の費用相場の記事で解説している。
7. 人材紹介・求人媒体・採用代行、どれが向いているか
職業安定法第32条の11と労働者派遣法第4条では、建設工事の作業やその準備に係る建設業務について、有料職業紹介・労働者派遣を禁止している。現場作業に直接従事しない施工管理はこの建設業務に当たらないが、判断の基準は職種名ではなく実際に行う業務だ。
主任技術者・監理技術者等には、所属する建設業者との直接的かつ恒常的な雇用関係が原則として必要になる。一般の派遣社員はこの直接雇用の要件を満たさない。人材紹介を通じて自社で雇用する場合も、資格・経験に加え、配置先で求められる雇用関係を確認する。
根拠:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」二-四。建設業務の紹介・派遣の扱いは建設業で人材紹介が禁止される理由で詳しく解説。
| 手法 | 任せられること | 選ぶ前の確認 |
|---|---|---|
| 人材紹介 | 条件に合う候補者の紹介 | 対象業務、手数料表、採用条件、入社後に任せる役割との適合 |
| 求人媒体(自社運用) | 求人の掲載と応募の受付 | 媒体費に加え、原稿作成・運用・応募対応を担う社内担当者 |
| 採用代行(RPO) | 契約範囲に応じた原稿作成・媒体運用・応募対応 | 業務範囲、対応時間、追加料金、自社で行う選考や判断 |
必要な資格を持つ候補者への接点を増やしたいのか、求人原稿や応募対応を回す人手が足りないのかで、向いている手法は変わる。候補者を探す機能と、採用業務を運用する機能を分けて比較すると、依頼先を選びやすくなる。
媒体を自社で運用する場合の出し先は、建設業の求人媒体一覧と選び方で整理している。
8. ゴリラ採用の考え方
ゴリラ採用は、建設業に完全特化した採用代行(RPO)だ。任せたい現場と仕事、必要な資格、育成の体制を確認したうえで、求人原稿づくりから媒体運用、応募対応・面接調整までを支援する。
施工管理の募集では、経験者と未経験者で求人の伝え方を分け、自社が求める条件と応募者が知りたい働き方の両方を具体化したい。依頼範囲や選び方は、建設業の採用代行とは?費用・選び方・完全ガイドでまとめている。